平成28年6月11日(土)…昨年に続き2回目となるイベント「赤ちゃんが教えてくれた家族の生き方 〜子育て期の働き方と暮らし方を考える2時間〜」を、この春天神の中心地にオープンしたばかりのアフタースクール(学童保育施設)「TECH PARK KIDS(運営:株式会社グルーヴノーツ)」さんで開催しました。

25名の大人と11名の0歳〜6歳児、ゲストの境治さん、ご協賛先様、スタッフを含めて総勢48名の「当事者」の皆様と共に考え学び合う賑やかな場となり、あっという間に終了した今回のイベント。子育て真っ只中のパパ・ママ、プレママ・プレパパはもちろんのこと、これから結婚や妊娠を考えていらっしゃる方、シングルマザーの方、子育てや家族支援関連のお仕事・活動をされている方、乳幼児期をの子育てが一段落された方、学生の方など・・・子どもの有無に関わらず、様々な思いを持った方が「当事者」として「赤ちゃんにやさしい国」へ向けた想いを語り、知恵を出し合った2時間でした。

皆様お疲れさまでした。そして本当にありがとうございました。

運営に当たっては至らぬ点もあったかと思いますが、ゲストの境さんの取材に基づく実感のこもった話や、赤ちゃんにやさしい国へ向けたいくつもの提言をはじめ、「自分の足元から何かを変えよう」とされていらっしゃる参加者お一人おひとりの想いが、このイベントを形にしてくれたと感じています。

今後も、アンケートで頂いたお声を参考にしながら、ゲストの境治さんご協力のもと、同様の趣旨のイベントを年に1〜2回福岡で開催していきたいと思っています。引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

Introduction 主催者より/イベントの背景とLogista株式会社の取り組みついて

ワーカーホリックだった私たち夫婦が、赤ちゃんという存在を機に「わたし」から「わたしたち」へと主語を切り替え、「家族としての生き方」を模索するようになったこと。マタハラやパタハラ、長時間労働や待機児童の問題など、「家庭も仕事も両方大事にしたい」という思いを実現する上で「壁」を感じている人が、男女を問わず大勢いる…と知ったこと。その上で、こうした状況を変えていこうとする「当事者の輪」を広げたいという思いでイベントを企画したこと。一当事者として、「家庭、職場、地域」それぞれが抱える課題や危機を解決するために子育て期のワークライフバランスを応援する会社を夫婦で立ち上げたこと…など、会のはじめに10分ほどお時間をいただき、イベントの背景とLogsita株式会社についてご紹介させていただきました。

Session1 ゲストトーク/赤ちゃんにやさしい国へ

「赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。」の著者・境 治氏による基調講演。高度成長期を支えた日本社会の古いルールとシステムの話から、「子育て村」という発想に至るまで。ブログメディア・ハフィントンポストで記録した驚異の「17万いいね!」の秘密と、その後の取材活動を通じて見えてきた新しい育児の姿や、今年の2月に話題となった「保育園落ちた日本死ね!!!」からはじまる社会運動を徹底取材する中での気づきを元に、「赤ちゃんにやさしい国へ」向けた考えをお話しいただきました。

参加者の皆さんのアンケートや直接いただいたメッセージでは、
・子育て支援を行なっている今の自分の取り組みに確信が持てました。大変参考になりました。
・一人で子どもを育てるという意識を捨て、周りと協力して助け合いながら育てていくことの大切さを感じました。
・子供が小さい間だけは、子育てを中心とした働き方や暮らし方が選択できるようにしていきたいとあらためて思いました。
・難しい言葉を使わずに、育児の現状を大変分かりやすく話してくださいました。報道のウラとオモテが聞けて良かったです。
・境さんのブログや記事以上に、保育園問題の深刻さや場所の確保の難しさ(公園と保育園と天秤にかけられない)を実感しました。
・乳幼児期の子育てを終えていながら、現役子育て世代の支援につながる問題提起をしていただいているのがありがたいと感じました。


などの声が聞かれました。赤ちゃんや親たちをを取り巻く子育て環境の課題への視座を広げ、自らの課題に取り組んでいく上でのヒントを得ていただける時間になったのではないかと思います。

Session2 みんなで考える 子育て期の働き方と暮らし方

「家庭」「職場」「地域」はどう変われば良いのか?自分自身は何ができるのか?
それぞれの立場から子育て期の働き方と暮らし方における「理想」と「課題・不安」を共有。子育てしやすい世の中にするための「家庭・職場・地域への働き掛け方」を皆で探っていきました。

「課題・不安」としては…

・産休や育休に対して上司によって対応が異なる
・「私はやれたわよ!」という同性からのプレッシャーがある
・会社勤めの男性には「妻=専業主婦」という思い込みが未だにある
・(父親である自分が)子育てに力を入れたくても、会社が理解してくれない

など、職場の上司や同僚に、子育てや夫婦・家族のあり方を理解してもらうことの難しさについての声が挙がっていました。

また、
・夫が不在がちで家事・育児を一人で回している
・妻だから●●するだろう…という夫の意識
・親以外に頼れる人がいない

など、「家のこと」を女性が一人で担う大変さ以上に、小さな命を育む責任の重さからくる「不安感」も、ところどころ垣間見えました。
家事・育児を妻が一手に引き受けているご家庭では大なり小なり夫に対して不満が募り、家庭内での夫婦の協力体制が整っている(整えていこうとしている)ご家庭においては、夫側の職場の理解を得ることが課題になっているケースが多いという印象が残りました。

「理想」としては…

・朝と夜は家族みんなで過ごせる
・家族で一緒にご飯を食べられる
・家族みんなが笑って暮らしている
・子どもとの時間を大切に、充分に確保できる

などの声が上がり、子どもや家族と過ごす時間や、その「質」を高めていきたいという思いが多数聴かれました。同様に多かった声としては職場環境に関するもので…

・職場内で保育できる
・定時退社で仕事も育児も納得のいく状態になっている
・子どもの成長に合わせて勤務時間や場所を変えられる
・男性社員も女性社員も子育てに集中できる期間があってほしい

など、子どもが小さい内は「子育て」に比重を置きながら働きたいという思いがあちこちのテーブルで語られていました。そのほかにも…

・それぞれの家庭の選択を否定しない社会
・子どもや夫に働くことを理解してもらえる
・子育ては夫婦がチームとなって行う

などの声が挙がるなど、「家族」や「夫婦」間で働き方や暮らし方、日々の子育てのことを共有し合いながら、一体感を持って進んでいきたいという思い、夫婦のパートナーシップや、個人の自由について深く考えさせられる議論が巻き起こっていました。

session2については、「年齢や性別、普段の生活環境などが異なる参加者同士で互いの理想と課題を共有することで、考えを深めたりまとめたりすることができた」という趣旨の感想を多く頂きました。普段頭の中だけで考えていてなかなか口にすることがない自分の本音と向き合いながら、大切な誰かと未来を創っていくヒントを得ていただければ幸いです。

参加して得られた気づき・学び / 全体を通してのご感想

・子育て中のワークライフバランスを根底から見直したいと思いました。
・みんな(妻も夫も)大変で悩んでいることがある…ということがわかりました。
・これから結婚や妊娠・出産を迎える方と接し、自分も何かしなくてはという思いが強まりました。

・会社、社会に不満があるのは当然だが「それをどう変えていくのか」と考えることができたのが良かった。目からウロコなことばかりでした。
・自分にできることを、小さいことでもいいので始めようと思いました。そこから社会に繋がっていけたらなと。もう少し政治や世の中の動きにも目を向けようと思います。
・​今回来なかったら出会えなかった方々と話すことが出来て良い機会になりました。
・今を快適に生きるためにも「子育て」を軸に、仕事やその他の生活を考えてみようと思いました。
・会社や行政の制度上、足りないことを不満(あきらめる)に思うのではなく、小さなことでも行動を起こすべきだと思った。
・当事者として課題に感じていることを周りに発信してみようと思った。知ってもらわなければ、変わらない。
・“今だけ”の問題ばかりでなく、自分が年長者になった時に、一生懸命な子育て世代を支えられるように、もっと勉強していきたいと思いました。
・独身の方や学生の方と一緒に考える事ができ、すごく良い時間でした。
・夫婦間でもっと話すようにしようと思います。祖父母とも話し合わなくてはと思いました。
・時間が足りないほどに充実した1日でした。あっという間でしたね。貴重な機会をありがとうございます!
・会場の雰囲気が良かった。託児もあって安心して参加できました。ありがとうございました。

赤ちゃん・子どもたちがいる風景 〜「見守る人」と「受け入れてくれる場」の力〜

最後に、この場を借りて今回のイベントにご協力いただいた方々にお礼を申し上げます。

まずは、私たちのイベントに託児スタッフとして毎回力を貸してくださっている「福岡子育てマイスター あゆみ」の皆様。この度もご協力いただきありがとうございました。あゆみ会の皆様の安全・安心な見守りと、現役子育て世代にはない遊びの知恵で、子どもたちも楽しく時間を過ごすことができたと思います。世代を超えた交流が生まれていることも、私たちにとっての価値の一つです。本当にありがとうございます。

次に、会場や告知面でご協賛いただいた「TECH PARK KIDS(運営:株式会社グルーヴノーツ)」様。あらためて感謝を申し上げます。
小学生のお子さんを育てながら働いているお父さん・お母さんのために開設されたアフタースクール。「最先端のテクノロジーに触れられる環境で充実した放課後を過ごしてもらいたい。仕事の忙しさや子どもたちと触れ合う時間の少なさを、デメリットではなく『子ども達の未来につながるメリット』へと変えてほしい」という「思いのこもった場」で今回のイベントを開催することができ、とても嬉しく思っています。イベントそのものは、乳幼児期の働き方と暮らし方に焦点を当てていますが、学童期はすぐにやってくるもの。そして、働きながら子育てをする中での葛藤は、乳幼児期だけで終わらないだろう…と想像しています。先々のお父さん・お母さん・お子さんご本人の選択肢を広げる意味でも、今後もTECH PARK KIDSさんの場の力をお借りしながらイベントが開催できれば幸いです。この度は本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します。

おまけ 〜参加者の心の声〜

ご参加頂きありがとうございました!