自分のパートナーのことを人に話す時の「呼び名」どうしていますか?

男性であれば、「妻、嫁、女房、奥さん、カミさん、家内、ママ、◯◯(名前)」、女性であれば「夫、主人、旦那、パパ、◯◯(名前)」、他にも「相方、うちの人」などの表現が使われているようですが・・・

自身の出産・育児について綴ったエッセイ『きみは赤ちゃん』でも有名な芥川賞作家の川上未映子さんが、わたしは「主人」アレルギー。「嫁」も気が滅入る。言葉をもっと大切に!という趣旨の記事を投じ、

言葉は、考えかたや性格や生き方に、ものすごーく作用する。対等なパートナーたる相手のことをふだんから無意識に「主人、主人」なんて言ってると、知らないうちに奴隷根性がすりこまれて、ここ一番というときに自立心が発揮できなくなる気がする。日常的なパワーバランスだって、知らないうちに見えない「主従関係」がベースになっている恐れも多いにあるのである。言葉による自己暗示はこわいのだ。

引用元:川上未映子 「主人」という言葉が心底嫌い

 訪問型病児保育事業を展開するフローレンスの代表の駒崎弘樹さんが「ご主人様 廃止宣言」を出すなど、

現代において、いまだに男女の不平等を前提にした「主人」という言葉を使い続けることは、正しいことなのか。むしろ、その言葉を使うことで、問題の構造を温存させることに、手を貸してしまうのではないだろうか。(中略)そこで、フローレンスでは、自分の夫のことを呼ぶ際の「主人」、あるいは相手の夫を呼ぶ時の「ご主人様」という呼称を、社内では廃止することにしました。
引用元:フローレンスでは「ご主人様」を廃止しました

ここ最近、主人や嫁などの「呼び名」に対する議論があちこちで起こっているようです。

ちなみに、筆者の周りの産後の妻たちの間でも…

・夫が「嫁がいつもお世話になっています」と私の上司に挨拶した時は、舅か!と恥ずかしかった。
・「主人が」「嫁が」と話しているのを聞くと、上下関係があるように感じる。
・ママ友が「うちの主人は〜」と話すのは自由だけど、「◯◯さんのご主人は〜」と言われるのは嫌。

という声が聞かれるなど、「主人」や「嫁」という呼び名にモヤッとしている人がチラホラ。
また、産後1年足らずの妻たちの中には…

・子連れだったとはいえ、外出先で夫に「ママ〜!」と遠くから呼ばれた時には心底ビックリした。
・どこに行っても「◯◯くんのママ」と呼ばれる。それだけでも億劫なのに、家でも「ママはさ〜」と夫に話しかけられるようになった。私の名前を呼ぶ人がいない。

という声も上がるなど、産後の妻たちは割と「呼び名」を気にする傾向が高いように感じました。

産後は「自分」が行方不明に!?

それもそのはず。産後は、泣く子をあやし、オムツを替え、おっぱいをあげ、お風呂に入れ…と、目の前の赤ちゃんを優先して過ごす中で、自分のことが後回しになりがち。まともに睡眠も取れず、お風呂やトイレも慌ただしく済ますことが多く、着るものや身につける物も自由に選べず、母乳のことを考えて食事にも気を遣い…と、あれこれ制約される中で自分が自分でなくなっていくような感覚」や「自分の人格が尊重されていないような感覚」に陥りやすくなります。

まるで「自分が行方不明になった」ような…そんな感覚を携えた中で、身近なパートナーが自分のことや、自分たち夫婦の関係を人前でどのように表現しているのか?「自分のアイデンティティに関わる問題」として呼び名を気にするのは、ある意味自然なこととでもあるのです。


そうした中で、「ママ」「主人」「嫁」などの呼び名が産後の妻たちの違和感に特に繋がりやすいのはなぜか?

「ママ」という呼び名については、

「夫のママではないから」
「ママ以外の自分の人格も大切にしたいから」(産後1年ほどは、「ママ業を休みたい」と思う人が多い!)

という説明で十分かと思いますが、残る「主人」と「嫁」という呼び名への違和感について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

「主人」「嫁」・・・なぜ違和感?

違和感の背景に見えるのは、「夫婦(男女)は対等である」という価値観と「呼び名が関係性をつくる」という危機感。

片働きか共働きか、どちらが多く稼いでいるかなどに関係なく、「人生を共に創るパートナー」であるはずなのに未だに「主人」という"主従関係"を彷彿させる呼び名や「嫁」という"属性"を表す呼び名が使い続けられているのはなぜなのか。

男と女は肉体的にも精神的にも異なる生き物であり、「性差」はあるものですが・・・「性別に身分差を感じさせるような呼び名であることに、憤りにも似た違和感を抱くということではないかと感じました。

ちなみに辞書を引くと「主人」や「嫁」という呼び名は、

「主人」:家の長、自分の仕える人、雇い主、妻が夫を指していう語
「嫁」:息子の配偶者、嫁ぎ先の両親が使う呼び名、対義語は"婿"

と定義づけられており、「嫁」という呼び名に至っては、夫が妻のことを「嫁の◯◯です」と表現するのはそもそも正しくないということが判明!かつての日本を支えた「家制度」の中で浸透した「主人」という呼び名についても、男女平等と言われて久しい現代社会の中では、違和感を抱く人が増えるのは無理がないように感じました。

いずれにしても、「対等な夫婦関係」心がける夫婦にとって「主人」や「嫁」は実態に即さない呼び名であることは間違いないようです。

Q、じゃあどう呼べば良いの!? 
自分のパートナーのことを人に話す時には「夫」「妻」という呼び名を用いれば言葉の使い方としてまず間違いないようですが、相手のパートナーのことを呼ぶ時って迷いませんか?「奥さま(さん)」や「旦那さま(さん)」という呼び名にも違和感を持つ人がいるだけに、本当に悩ましいところです。
そんな中、記事内でご紹介したフローレンスの駒崎さんが、「相手のパートナーを呼ぶ時には『◯◯さんのパートナさん』という呼び名を用いれば良い」と提案していますが、案外これがしっくり来るのかもしれません。横文字は馴染まないという人も多いのではないかと思いますが、事実婚やLGBTカップルなど、さまざまな間柄に適用できる呼び名と考えると使い勝手は良さそうです。

呼び名なんて大した問題じゃない?

「呼び名なんて大した問題ではない!」
「主人という呼び名を好んで使っています!」
「お互いが納得していれば何でも良いのでは?」

「うちの嫁ちゃん♪と愛着を込めて呼んでいます」

さまざまな意見があるだけに「主人」や「嫁」は絶対にNG!と断じるわけにはいきませんが。

それでも、間近に接する子どもたちへの影響を考えると、本来の言葉の意味合いや使い方を理解した上で自分たち夫婦の実態に即した呼び名を選択していくことは大切なことのように思います。

もはや、性別に身分差を感じさせる時代ではありません。

「稼いでやっている」「養ってもらっている」という構図や、主従関係のような夫婦の姿を見せていくことが、未来を生きる子どもたちにとって本当に良いと言えるかどうか。夫婦の数だけカタチがあるとはいえ、どんな関係性を子どもたちに見せていけば良いか・・・こうした話題をキッカケに、普段の夫婦関係を見つめ直すのもひとつかもしれません。

子どもたちの前で、夫婦ともに笑顔でいられるような「わたしたちらしい夫婦関係」を築いていきたいものですね!

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