日々「誰か」が担っていながら、「家事として認識され難い家事」を意味する「名もなき家事」。

ダイワハウス工業が、共働き夫婦の家事分担状況に関する調査を実施し、夫と妻との間で「家事だと思う項目」に認識差が見られたことを「名もなき家事」として2017年4月に発表して以来広がりを見せていますね。

実際に、「家事」というと、炊事・洗濯・掃除などが思い浮かぶ人が多いもの。

しかしその中には、調味料を補充・交換する、食前食後にテーブルを拭く、哺乳瓶を消毒する、洗濯前に衣類をつけ置き洗い・手洗いなどに分類する、シワが入った洗濯物にアイロンを掛けて畳んで仕舞う、排水溝を定期的に磨く、トイレットペーパーやティッシュ箱を買い足す、園や学校とのやり取りを行うなど、こまごまとした「家事」が存在しているわけで…。

その担い手がどちらか一方に偏る中で生じる「なんで自分ばっかり」という不公平感が、夫婦の間にイラっとモヤっとを巻き起こしていることは間違い無さそうです。

続々登場!「名もなき家事」共有ツール

そうした中、家事代行サービスなどへの依頼額を基準に年収を弾き出す「家事年収シミュレーター」や、家事分担状況を夫婦で把握するアプリ「Yieto(イエト)」など、名もなき家事をお互いに意識するためのツールが続々と登場!

見える化に当たっては、名もなき家事という言葉が生まれる更に前に 雑誌 AERAで紹介されていた「共働きの家事育児100タスク表」もオススメですが、きっちり50対50に分かれていないとNGというわけではなくて。

いずれのツールも、一つひとつの家事にかかる時間や負担感、自分たち夫婦・家族の状況を考慮しながら配分を見直すきっかけにしてほしいという思いから生み出されているようです。

ちなみに、こうした見える化ツールが広がる一方で、「気が付いた方がやれば良いだけの話では?」という意見も出がちですが、それではこの先も永遠に「先に気が付いた方」に家事が偏ることになるだけなんですよね…。

夫婦のどちらかが家事に偏りを感じていて、それが不満になっていることが分かっているならば。先々大きな夫婦の溝に発展してしまう前に、やはり一度はふたりで「名もなき家事」を含めた現状把握を進めてみた方が良いのではないでしょうか。

でもちょっと待って!家事の見える化で終わらないために…

そんな「名もなき家事」を夫婦で共有する際に、実はひとつだけ取り入れてほしいことがあるんです!

それは「そもそも何のために家事をするのか」を一緒に考えてみる、ということ。

細かくタスクに分解し、見える化するほどに大変さや辛さが浮き彫りになってくる家事。
その裏で、「効率化すれば済む話」と家事負担を感じている側の悩みに寄り添えずに、かえって相手を落胆させてしまう人もいれば、「やるべきことの押し付け合い」へと発展していく夫婦もいるなど、家事の話し合いは難航しがちです。

そんな状況を避けるためにも、「そもそも何のために家事をするのか?」お互いが家事の意味や価値をどのように捉えているのか、考えを共有するところからはじめてみるのがオススメ!

「家事は家族みんながやるべき事」「家事は息抜き程度にするのが良い」「家事は代行業者の方に積極的にお願いする方が良い」「家事は責任が伴う仕事」「家事全般は嫌いじゃないけど掃除は苦手」など、きっと一言で家事といっても夫婦の間でさまざまな見解が飛び出してくるはずです。

ちなみに辞書で家事の意味を引いてみると…

家事(かじ)

家庭生活を円滑に営んでいくうえに必要な諸作業をいう。料理,裁縫,育児,洗濯,清掃,生活用品の購入,家計の切盛りなどが含まれる。家事は人間の生命維持に直接関係あるもので,家庭生活を支えるものである。
(ブリタニカ国際大百科事典より)

と記されていました。

産後夫婦ナビでご紹介している《夫婦会議ツール》夫婦で産後をデザインする「世帯経営ノート」の中でも、「家事とは家族の暮らしを豊かにすること」としてご紹介していますが、こうして家事の意味や価値を夫婦間で共有し、できる限りポジティブな認識へと捉え直すだけでその後の取り組みに変化が生まれることがあります。


家事は確かに大変です。
食事の準備や後片付け、部屋や水回りの掃除、家族全員分の洗濯、買い物・・・そして、育児や介護。これらは、単純労働ではなく知恵のいる立派な「仕事」であり、肉体労働的要素も大きく、特に、出産で体力を使い果たした産後の女性が一人で担えるようなものではありません。

日々相当な体力を要し、何より人の健康や命に関わる責任を担うことになる家事。

でもそれが、「誰かに言われて嫌々やるもの」になってしまわないように。
「指示を出してやらせるもの」になってしまわないように。

家事にはどんな意味があるんだろう?
家事にはどんな価値があるんだろう?
そもそも、何のために家事をするんだろう?

…と、まるで小学生向けの家庭科の教科書にあるような問いを立てながら、夫婦で家事に向き合い話し合っていく。

そんなやりとりを積み重ねていく中で、家事の意味や価値までも夫婦で共有できるようになると、率先して取り組む意識はもちろん、自然と協力し合える夫婦関係が築かれていくはずです。

もちろん、子どもにとっても家事を楽しそうに協力して進める両親の姿は、プラスの影響をもたらしてくれる身近なロールモデルになることでしょう。


人生を共に創ると決めた夫婦だからこそ語り合えるテーマの一つが「家事」です。

「名もなき家事」による家事の辛さや大変さの共有に留まらず、ぜひ「家事の意味や価値」についても夫婦で考え、向き合ってみてくださいね。今より深い信頼関係を築くキッカケになることを、心から願っています!

「夫婦会議」を始めてみませんか?

「夫婦会議」とは、人生を共に創ると決めたパートナーと、より良い未来に向けて「対話」を重ね、行動を決める場のことです。

自分一人の意見を通すため・相手を変えるために行うものではありません。わが子にとって、夫婦・家族にとって「より良い家庭環境」を創り出していくことを目的に行います。家庭は社会の最小単位であり、子どもたちが最初に触れる社会そのもの。大切なことを前向きな気持ちで対話していける夫婦であるために、新習慣として取り入れてみませんか?

ふたりのペースで「夫婦会議」を始めてみる!

夫婦で産後をデザインする「世帯経営ノート」
https://www.3522navi.com/guide/archives/52

家庭も仕事も大切にしたい…もっと夫婦で協力し合えたら…。そんな産後のご夫婦の声を元に開発した「夫婦会議ツール」です。家事、子育て、仕事、お金、住まい、セックス、自由時間、美容と健康、祖父母との関係など、産後の夫婦がすれ違いやすいポイントに的を絞って質問や例題を設定。夫婦を世帯の共同経営者に見立てた「世帯経営」というオリジナルの概念を用いて二人で問いに向き合う内に、大切なことを前向きな気持ちで対話できる夫婦関係が築かれていきます。

家庭は社会の最小単位であり、子どもたちが最初に触れる社会そのものです。わが子に幸せな家庭環境を創り出していける夫婦であるために。夫婦・家族の明るい未来に向けて、ぜひ一家に一冊お持ちください。

よその夫婦と「夫婦会議」を始めてみる!

子育て期夫婦のパートナーシップを強くする!両親学級「世帯経営セミナー」 
https://www.3522navi.com/events/archives/category/partner

それぞれが仕事や家事・育児に一所懸命取り組む日々の中、自分やパートナーがどういう状態を望んでいるのか?何に不安や課題を感じているのか?講師を務める私たち夫婦の体験談の他に、これまでリサーチを重ねてきたご夫婦の事例を交えた「産前産後のリアル」をお伝えしながら、ワークショップやディスカッションを通して「夫婦会議」を体感いただく場です。「誰にでも起こりうる産前産後の危機を乗り越え、我が子に幸せな家庭環境を創り出せる夫婦になる」そのためのキッカケをお届けします。子育て中のご夫婦はもちろん、妊娠中のご夫婦、これからお子さんをお考えのご夫婦、新婚さん、結婚前のカップルさん、ぜひご参加ください!