乳幼児期から14歳までの日本の子どもの死亡原因の上位に「不慮の事故」があります。

中には予測できない事故もありますが、多くの事故は、親をはじめとする「周囲の大人の注意や環境づくり」「事故防止に対する知識」によって防ぐことができるもの。

わが子を事故から守るためにできることとは?

このページでは、消費者庁が発行する「事故防止ハンドブック」の内容を参考に、「1歳児」における事故防止のポイントをご紹介。普段の生活の中で、どの程度子どもに注意を払えているか、まずは自分の行動を振り返ってみましょう。

 

Attention!

「今まさに事故が起き、対処法を探している!」という方は、迷わずに小児救急相談の「#8000」に電話をしてください。意識が無い、唇が紫色で呼吸が弱い、出血が止まらないなど、明らかな緊急事態には、ためらわずに「119」番で救急車を呼びましょう。

事故に限らず、けいれん、下痢・便秘などの気になる症状にあわせた対処法を教えてくれる「こどもの救急」も頼りになりますよ!(「こどもの救急」は厚生労働省研究班/公益社団法人 日本小児科学会により監修されています)

窒息・誤飲による事故

1.食事中に窒息
□ 飲み込むのが難しい大きさの食事を与えて窒息​​
□ 飴玉や硬い豆・ナッツなどで窒息
□ 食べ物を口に入れたまま遊んだり話したり寝転がって窒息

離乳食を経て少しずつ食べられるようになってきた頃に気をつけたいのが食事中の窒息です。
小さな子どもは、大人が思う以上に「飲み込めずに苦戦」することがあります。食べ物の大きさや柔らかさは適切か。普段の食事の中で、よく観察しながら判断してみてください。また、食事に集中できずに遊び始めた子どもを追いかけて食べさせるようなこともおすすめできません。「ながら食べ」はとても危険!喉に詰まらせる原因になります。食事のマナーという観点だけでなく、子どもの窒息予防のためにも「きちんと座って食べる」ように習慣づけることが大切です。

 

2.紐による窒息
□ ブラインドやカーテンの紐による窒息​​
□ コードやケーブルなどの紐状のもので窒息


3.おもちゃで窒息
□ おくちに入るサイズのおもちゃで窒息

小さな部品やスーパーボールなど、喉に引っかかったり誤飲に繋がりかね無いおもちゃを与えていないか、一度見直してみてください。おもちゃの対象年齢を参考に見極めることが大切です。

 

4.就寝時の窒息
□ うつ伏せに寝て寝具に顔が埋もれて窒息​​
□ 掛け布団、ぬいぐるみ、よだれかけなどで窒息
□ ベッドと壁の隙間に挟まって窒息
□ 家族の身体の一部で圧迫されて窒息
□ ミルクの吐き戻しで窒息

1歳児までは、0歳児と同様に就寝時の窒息に気をつける必要があります。寝姿勢は「うつ伏せではなくあお向け」で。授乳やミルクの後に寝かせる場合には「げっぷをさせる」など、引き続き注意しておきましょう。


5.命に関わる誤飲
□ ボタン電池・吸水ボール・磁石などの誤飲
□ 医薬品・洗剤・化粧品・入浴剤などの誤飲
□ たばこ・お酒などの誤飲

上記に挙げた誤飲は、全て、重篤な症状を引き起こす恐れがあります。ボタン電池の誤飲は食道や胃に穴を開け、大動脈を傷つけたり、樹脂製の吸水ボールや複数の磁石は腸閉塞などを引き起こす恐れがあります。また、医薬品・洗剤・化粧品・入浴剤・たばこ・お酒などは、その成分によって重い中毒症状が表れることも。いずれも「絶対に」子どもの手の届か無い、見え無い所に保管することが大切です。

転落・転倒による事故

□ 階段からの転落、段差での転倒
□ ベランダや窓からの転落
□ ショッピングカートからの転落
□ ベビーカーからの転落
□ 椅子(ハイチェア)やソファからの転落
□ 大人用ベッドやベビーベッドからの転落

□ おむつ替えの時の台からの転落
□ 抱っこひも使用時の転落

一人歩きが始まり、よじ登ったり、飛び跳ねたりと動きが活発になる1歳児。
階段のような段差のあるところが大好きで、「登る途中」「降りる途中」に踏み外して転倒したり転落する事故の危険が急激に高まります。
また、ベランダや窓も危険地帯!近くに「踏み台」になってしまうようなものを置いていないか、確認してください。ふとした時に外の様子が気になって身を乗り出し、そのまま転落事故に繋がってしまうようなことも無いとは限りません。

そのほかにも、高さのある場所でのおむつ替えや、椅子の使用には十分注意しましょう。ショッピングカートやベビーカーなども、安全ベルトを正しく装着していなかったり、立ち乗りをするなどして転倒の危険を招くことがあります。転落・転倒の多くは「子どもから目を離さないことで防げる事故」です。

水まわりの事故

□ ビニールプールや海・川で溺れる
□ 入浴時に大人が目を離して溺れる

□ 浴槽へ転落し溺れる
□ 洗濯機、バケツ、洗面器、トイレなどで溺れる

赤ちゃんはもちろん、1歳の幼児でもわずか10㎝ほどの深さの水でも溺れる恐れがあります。一人歩きができるようになる中、お風呂場やトイレに「一人で入って溺れる」ようなことがないよう十分注意をしてください。一緒にお風呂場にいる場合も同様です。大人が髪を洗っている間や着替えをしている間など、目を離した隙に溺れてしまうこともあります。

また、成長に伴い、ベランダや庭でビニールプール遊びをする機会が増えたり、川で遊んだり海水浴を楽しんだりする機会も増えます。このような場合にも、大人が必ず付き添うように心がけましょう。

水場に一人にしないこと、これが水まわりの事故を防ぐ基本行動です。

やけどの事故

□ 高温の飲み物や汁物でのやけど
□ 電気ケトル、ポット、炊飯器でのやけど
□ 暖房器具や加湿器でのやけど
□ 調理器具やアイロンでのやけど

どこにでも歩いていき、なんでも触ってみる。こうした中で注意したいのが、やけどによる事故です。
お茶や味噌汁など、高温の飲み物に子どもの手が届かないよう注意してください。テーブルクロスやテーブルマットは、引っ張ってその上の容器を倒す原因になりやすいので控えたほうが良いでしょう。

また、電気ケトルやポットの熱湯、炊飯器や加湿器の蒸気などに子どもが触れることが無いよう注意しましょう。簡単に手が届く位置に設置しないことはもちろん、万一に備えてロック機能があるものを選ぶのも一つの対策です。

そのほか、フライパンや鍋、アイロンなど、使用中・使用後共に高温状態にある可能性が高いものは、子どもが触れずに済む場所に意識的に置くように心がけましょう。冬場の暖房器具も要注意です。床置きタイプのストーブやヒーターは安全柵で囲う、湯たんぽや電気カーペットは長時間の使用を避けるなど、低温やけどにも注意してください。

自動車・自転車関連の事故

□ 道路上などでの事故
□ 車内での熱中症
□ チャイルドシート未使用による事故

□ 車のドアやパワーウィンドウに挟まれる事故
□ 子ども乗せ自転車での転倒

歩けるようになると増えるの事故の一つに「道路上での事故」があります。幼児を連れて外を歩く時には必ず手を繋ぎ、大人が車道側を歩くようにしましょう。車道に飛び出すことの無いように「道路上や車道の近くで遊ばせない」「道路越しに声をかけない」よう気をつけたいものです。

また、真夏でなくとも天気が良く汗ばむような日は、エンジン停止後の車内の温度が一気に上昇します。日中の気温が30度を超える日には、30分しないうちに55度まで上がったという調査結果もあるそうです。こうした中で、子どもを車内に放置するのはとても危険!ちょっと忘れ物を取りに、ちょっとコンビニに…など、わずかな時間であっても置き去りにするのは絶対にやめましょう。

自転車に子どもを乗せたままその場を離れるなどの行為も予期せぬ転倒を招く原因になり危険です。乗り物から離れる際には子どもを連れて行く。それだけ守れば防げる事故と言えます。

挟む・切る・その他の事故

□ 歯ブラシや箸・フォークなどでの喉付き事故
□ 機械式立体駐車場での挟まれ事故
□ テーブルなどの家具で打撲
□ 小さな物を鼻や耳に入れる
□ カミソリ、カッター、はさみなどの刃物でのけが
□ キッチン付近の包丁、ナイフでのけが

□ ドアや窓、戸棚などの開閉時に手や指を挟む
□ タンスなどの家具を倒して下敷きになる
□ エスカレーターやエレベーターでの事故

歯ブラシや箸・フォークなどを口に入れたまま歩いたり走ったり…このような中で起こる「喉付き事故」は、1歳〜3歳で多発していると言われます。自分で歯を磨きたい!フォークや箸を使いたい!というお子さんの気持ちは大切にしながらも、大人の目配り気配りが必要です。

また、1歳児は室内での事故がぐんと増える時期でもあります。

テーブルの角で顔や頭をぶつけたり、ドアや窓、戸棚の隙間に手や指を挟んだり。タンスなどの家具にぶら下がったり、引き出しを開けてよじ登ろうとする中で家具が倒れて下敷きになったり。物に対する興味が広がる中で、ビーズなどの小さなおもちゃ、お菓子を鼻や耳に入れて遊んだり。

全ては目を離した隙の一瞬の出来事です。思わぬ事故に発展することの無いよう十分注意しましょう。

その他、キッチン周りの包丁や洗面所などにあるカミソリの収納場所、カッターやはさみなどの文具類の置き場所にも意識を向けたいところ。出しっぱなしは厳禁です。刃物類の事故は、手の届く場所に置いていなければ防げます。

外出先ではエレベーターやエスカレーターでの事故にも気をつけたいですね。エレベーターでは、子どもの小さな手がドア付近にあると挟まれる危険があります。エスカレーターにおいては、間違ってもベビーカーを斜めにして乗り込んだりしないようにしましょう。

1歳児は・・・

1歳児は行動がぐんと広がる時期!
その分、あらゆる場面でケガや事故に遭いやすくなる。

いかがでしたか?

死亡に至らずとも、傷が残ったり後遺症が現れたり、その後の生活や将来の選択に支障を来すようなこともある不慮の事故。中でも、一人歩きがはじまり、走ったり登ったりができるようになった1歳児は、一生のうちで最も事故が多い時期と言われています。

「防げたはずの事故」を起こさずに済むように。

まずは、夫婦で我が子の発達や成長に応じた事故対策について話し合う機会が持てたら心強いですね。

その際には、

・自分一人の視点だけでは気がつかないことがある
・大人の物差しで、これくらい大丈夫と思いがち
・親のコンディション次第では正常な判断ができない(特に産後の女性は寝不足や体調不良に陥りがち)

という点を考慮して頂くと、我が子の安全確保に向けたご夫婦ごとの協力体制の在り方が見えてくると思います。

お子さんと共に過ごす日々が健康で明るいものでありますように。
子どもたちの健やかな成長を心から願っています!

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