朝ドラ、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の森山夫妻(鈴愛&涼次)の離婚劇が反響を呼んでいますね。
「スズメちゃんとカンちゃんは僕が守る!」発言から5年。8月1日に放送された第105話では、諦めたはずの映画監督になる夢を密かに再燃させていた夫・涼次が、娘・花野の5歳の誕生日に、妻・鈴愛に向かって突然離婚を切り出すという衝撃の展開。
ネット上では「夢追い人の気持ちも分からなくもない」「死んでくれとまで言われる筋合いはない」などと涼次を擁護する声も見られたものの、大半は鈴愛と花野ちゃんに対する同情で占められていたようで。
「大切な娘の誕生日にする話!?」「一番の被害者は、花野ちゃんだよ!!!」「勝手に離婚を決められて『家族は邪魔』とまで言われたら、『死んでくれ』としかならない」「涼次が4年かけて書き上げたという事実が辛い。鈴愛が家族を見ていた時、涼次は脚本の世界を見ていた」と、憤りを隠せない視聴者が続出する事態となりました。
その気になる修羅場の一部始終がこちら…
涼次 「別れて、ほしい」
鈴愛 「え?今なんて?」
涼次 「俺の本が認められて映画になる」
鈴愛 「まだシナリオ書いてたの知ってたよ。
でも、花野のために諦めたんじゃ
なかったの?私たち家族のために、
安定した生活を選んでくれたんじゃ
なかったの?」涼次 「そのつもりだった。
でも、佐野弓子先生に俺じゃなきゃ
ダメだって言われて。
俺、需要ある…才能あるかもって」鈴愛 「もう結婚したじゃん。
生活あるじゃん。
花野いるじゃん!
涼ちゃんいくつだよ」
この後、涼次 が「弓子さん」ワードを連発しながら、原作の素晴らしさ、何度も書き直して映画のシナリオを仕上げるに至った経緯を熱っぽく語るシーンが続く。
鈴愛 「弓子さんとか気持ち悪い…。私が花野のおしめを替えるのと、
1日7回も8回もミルクあげるので
いっぱいいっぱいで、
耳うるさいのに夜泣きされて、
近所を抱っこして回ってる時に、
涼ちゃんはこの世のどこにもいない。
生きてもいない。架空の世界(本の世界)に
夢中だったのか?
それは、裏切りじゃないのか?
何で言わなかった!?」涼次 「…言えなかった。
夢を引き返してはいけないと思った」鈴愛 「だったら、あきらめてよ」
涼次 「でも、映画の世界が僕を呼ぶんだ」
鈴愛 「結婚したまま、
撮るわけにはいかないの?」涼次 「退路は、断ちたい。
この先何本も撮りたい。
僕は定職には就かない。
生活が不安定になる。家族は、邪魔になる」
鈴愛 「死んでくれ…」
涼次 「…え?」
鈴愛 「死んでくれ涼ちゃん。
そしたら許してあげる。
別れてあげる」
この直後、鈴愛が涼次に物を投げつけながら「こんなの、私の知ってる涼ちゃんじゃない!!私たちは親なんだよ!?花野を捨ててくのか!?」と涙ながらに訴えるところに花野が登場。「はい仲直り!」と2人の手を取り繋ぐも、涼次が家を出ていく場面でその日の話は幕を閉じる。
ズーン…_| ̄|⚪︎
もうね…
「どうして家族と映画を天秤にかけてしまうんだ!!」とか、「離婚しないと映画を撮れないっていう思考回路がナゾすぎる!!」とか、「誕生日が来るたびにこの日の記憶が蘇る娘のことを考えたのか!!」とか。
どうしたって、一方的に離婚を切り出してきたことに疑問と怒りが湧いてくるわけですが。その裏で、鈴愛と涼次の間には「大切なことを話し合って決めていける夫婦関係がなかった」のだなと。ふたりの間に、それほど強固な信頼関係が築かれていなかった様子が垣間見え、そこに絶望を感じてしまう…そんな展開でもありました。
とにかく!
七転び八起きというこのドラマのコンセプトを尊重して、重苦し過ぎるふたりの離婚劇から、リアルを生きる産後の夫婦が学べるポイントを3つにまとめてみました。
ここは一つ、森山夫妻の轍を踏むことがないよう、ぜひ最後まで目を通して頂けたらと思います!・`ω・)
1、どう生きたいか?「定期的なビジョンの共有」が足りなかった
鈴愛と涼次に足りなかったことの一つに挙げられるのが「定期的なビジョンの共有」。
ここで言う「ビジョン」とは、在りたい姿や目指したい未来のこと。
夢や目標に関わる重要なテーマでもあります。
ふたりの場合、こうしたビジョンを出逢った頃から結婚当初にかけては語り合えていたようですが、生まれてくる子どものために涼次が夢を諦めると宣言した辺りから状況が一転。前述の離婚話において「何で言わなかった?」「言えなかった…」というやり取りがなされるなど、いつしかタブー視されるようになっていたことが伺えます。
しかし、「ビジョン」は人生を共に歩むと決めた者同士、最も共有しておきたいテーマ。
どう生きたいか?
どんな自分・夫婦・家族でいたいか。
5年後10年後は?
はっきりとしたイメージがある人ばかりではなく、ライフイベントを機に変化することもあるものだからこそ、自分自身で把握することはもちろん、パートナーにも定期的に言葉にして伝えることが大切になります。
鈴愛と涼次も定期的にお互いのビジョンを共有し合えていれば。もっと素直に、思いを共有し合えていれば。
これほどまでに唐突な離婚話に発展することはなかったのかもしれません。
2、「わたしたち」という視点が足りなかった
次に、鈴愛と涼次に足りなかったこと…それは「わたしたち」という視点です。
実は、どう生きたいか?というような「個々のビジョン」を定期的に語り合えるようになるだけでは不十分。結婚を機に夫婦になった二人の間には、人生を共に創っていく「共同経営」のような発想が必要になります。
具体的には、主語を「わたしたち」に置き換えて対話できる関係を築いていくということ。
お互いを尊重しながらも「夫婦として、親としてどう生きていきたいか?」を語り合える関係にステップアップしていく、「わたし」だけでなく「わたしたちとして、どうするか?」という視点に立った対話の積み重ねが、より良い夫婦関係・家庭環境づくりにおいては不可欠です。
その点ふたりの場合はというと、今回のやり取りの中で
「わたしたち(僕たち、俺たち)」という言葉を発した回数は鈴愛が「2回」涼次は「0回」
「わたし(僕、俺)」という言葉においては、鈴愛が「4回」涼次に至っては「16回」
という状況で、「わたしたちで人生を創る」という姿勢がほとんど感じられませんでした。
二人でいるのに一人で生きているような感覚から抜け出せず、夫婦の信頼関係を深めることができなかった森山夫妻。
「僕は、私は」と主張し合うばかりの涼次と鈴愛の間には、夫婦を夫婦たらしめている前提が機能していなかった…ということになるのかもしれません。
3、「対話」が足りなかった
最後に鈴愛と涼次に足りなかったこと、それは「対話」です。
対話とは、価値観の違いを尊重し、互いに納得のいく結論を導き出していくコミュニケーションの一種。たわいもないお喋りに代表される日常的な会話とは異なり、大切なことを話し合って決めていく行為を指します。
例えば、今回のふたりの場合であれば…
・育児に追われていっぱいいっぱいになっている状況を涼次に「相談」する。
・掃除中に書きかけのシナリオを見つけたことをキッカケに、涼次の気持ちや考えを「確認」する。
・映画監督の話が舞い込んできたことを鈴愛に「相談」する。
・一度は諦めようとしたものの、夢への思いが再燃していることを鈴愛に「相談」する。
など、ちょっとした切り口から対話に発展させ、「家庭を大切にしながら協力して夢を実現する」という結論を導き出すチャンスもありました。
でも、どちらもそれをせず、自己完結してしまった。そこには、「言えば喧嘩になる」「気まずくなる」という思いがあったのかもしれませんが、自分の中に芽生えた小さな違和感、臭いものに蓋をして対話を避け続けてきた結果がこの状況を招いたことは明白です。
人生を共に歩むと決めた相手に対して、自分の感情や考えをきちんと伝えるということ。これはとても重要なことです。ネガティブな感情を乗り越えていかない限り「夫婦の信頼関係」は深まらず、信頼のないところに関係は継続しません。
「今の話は◯◯という意味?」
「どうしてそう思うの?」
「詳しく聞かせて?」
などと尋ねながら、相手に一歩踏み込めていたら。言葉の背景にある感情や考えに関心を持ち合えていたら。鈴愛と涼次が、早くにこのことに気がつき、大切なことを話し合えていたら。
自分のこれまでのやり方に固執せず、ふたりで新しいやり方を導き出すことができたのではないか。夫婦ふたりにとっても、花野ちゃんにとっても幸せな家庭、幸せな人生を築いていくことができたのではないか。…そう思わずにはいられません。
元より別々の人生を歩んできたふたりだからこそ「対話」が必要だった。
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