「赤ちゃんが生まれたら自動的に幸せになれる」というイメージが強い産後。しかし、産後2年間が最も離婚率が高い時期であることを、あなたは知っていましたか?

平成23年度に厚生労働省が日本の母子家庭を対象に行った調査によると、全体(死別を除く)の約3割が子どもが0〜2歳の時…つまり「産後2年以内」に離婚を決意。子どもが3~5歳の時に離婚した家庭を含めると、その数は全体の半数を超えていたのです。

母子家庭になった時の子ども(末子)の年齢別状況

※死別を原因とした母子家庭の方は除く

子どもが幼く、可愛い盛りであるはずなのにどうして?と思う人もいるかもしれませんが、子どもの可愛さと夫婦関係の良し悪しは別物。むしろ子どもの誕生を機に夫婦間で考え方や行動に乖離が生じたり、それまで気にも留めなかったことが問題になるなど、溝を深めがちです。

背景にあるのは2012年にNHKの「あさイチ」という番組で提唱された「産後クライシス」という現象。産後2年以内に夫婦(特に女性側)の愛情が急速に冷え込むというもので、産後の妻のホルモンバランスの乱れや、夫の育児や家事への関わり方に妻が大きな不満を持つことが引き金になると考えられています。

※ホルモンバランスの乱れ:妊娠中に大量に分泌されていた女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」が産後は急減します。その一方で分泌量が増えるホルモンが「オキシトシン」。これは子どもを守るために分泌されるホルモンで、育児に非協力的な人間に対して攻撃性を高める作用があるとも言われています。

ちなみに、ベネッセ次世代育成研究室が288組の妊娠中のカップルを対象に4年間追跡した「配偶者への愛」に関する調査結果によると、全体の74%の夫婦が、妊娠当初は「本当に愛している」と答えていたにも関わらず、子どもが2歳になる頃には夫婦ともにヒヤリとする結果に…!特に妻の夫に対する愛情は子どもが0歳の時点で30%近く落ち込むなど、産後1年足らずで「愛情が急激に冷めていく」という恐ろしい状況が報告されています。

※出典:ベネッセ教育総合研究所 資料

ではどうすれば産後も良好な夫婦関係を築いていくことができるのでしょう?夫婦の数だけ答えがあるものですが、今回は実際に産後クライシスを乗り越えてきたご夫婦へのヒアリングを通して見えてきたポイントを3つにまとめてご紹介します。

1、夫が「産前産後のリアル」に対する予備知識を持っている

妊娠出産によって妻の心と体がどのように変化していくのか?夫婦間にどのような問題が生じやすくなるのか?など、「夫」側が多少なりとも産前産後のリアルに対する予備知識を持っている場合、早期に産後クライシスを乗り越えているケースが多く見られました。情報収集元が、インターネットの記事という方や、テレビドラマ「残念な夫」NHK特集「ママたちが非常事態」、漫画「コウノドリ」やドラマ「コウノドリ」などを観て…という方もいらっしゃいましたが、圧倒的に多かったのが、産婦人科や行政で開催している「両親学級」「父親学級」に参加して学んだという声。産院の先生や育児中のご夫婦など「産前産後を知る第三者からの話」を通じて、楽しいばかりではない育児の実態や、妊娠出産における生命のリスクなどを知り、「夫ととして父親として何ができるか」を考える機会を得ているのです。妻だけでなく夫も一緒に「変化を受け入れる準備」を行うことで、産前産後の大小さまざまなトラブルを夫婦で乗り越えていく基礎が整う…ということなのかもしれません。

2、「産後の妻」を尊重する夫の存在がある

産後の妻たちの中には「自分のアイデンティティを見失うような感覚」に陥る人も少なくありません。行く先々で「◯◯くんのお母さん」「◯◯ちゃんママ」と呼ばれることが増え、自分自身について語る機会が激減。子どもを中心とした話題に終始する中、自分が自分で無くなってしまったように感じるのだそうです。また、「やりたいことが一つもできていない」「達成感がない」と感じている人も多いと聞きます。やりたいことの中には仕事復帰や資格取得、海外旅行など、準備や調整がそれなりに必要なものもありますが、ほとんどが「ご飯を温かいうちに食べる」「お風呂に一人でゆっくり浸かる」「誰にも起こされずに思う存分眠る」「美容室に行く」など、産前までは当たり前にできていたことばかり。日常生活における「小さなこと」さえも思い通りにすることができない中、焦燥感やストレスが溜まっていくのだそうです。
このように、精神的なダメージを受けやすい状態にある「産後の妻」を一番身近なパートナーである夫が支えられるかどうか?間違えても、「母親になったのだから我慢すべき」「◯◯さんの奥さんはもっと頑張っている」「俺の母親なら…」などと突き返さずに、「自分の妻が今何を望んでいるのか」に心を傾け、妻の意思を尊重した発言や行動をとっていくことができれば、比較的簡単に産後クライシスを乗り越えていくことが可能なようです。

3、「おしゃべり」ではなく「対話」ができる夫婦関係がある

対話とは自分と異なる境遇・考えを持つ人と「共感・理解」を積み上げていく行為。一つの方向性・目的に対して「合意点」を見出し、発展性を持たせていく前向きなやりとりのことを言います。

実際に産後クライシスや離婚を経験したことがある方々に話を伺うと「対話の不足」が事態を深刻なものにしていったことがよくわかります。たわいのないお喋りはできても、大切な話ができていかなった。お互いが思い描く人生プランや、家事・育児・仕事など、現実に向き合った話をしてこなかった。不安や大変さなど、ネガティブな話に耳を傾けなかった。どうせ言っても意味がない、自分さえ我慢すれば…と気持ちを伝えることをしなかったなど。「互いのマイナスの感情をプラスに変えていくやりとり」ができず、最悪の事態を迎えているのです。

産前産後の妻たちは、ホルモンバランスの乱れや体の疲れから感情的になりすぎたり、頭が回らなかったりすることも出てきます。また、多くの夫たちは感情に寄り添いながら話を進めるということがそもそも苦手です。それでも、この時期に大切なこと(互いの気持ちや状況も含む)を話し合える関係がつくれていれば、後々まで続く信頼関係へと発展します。もとより、別々の人生を歩んできた二人です。「夫婦だから、家族だから」という理由だけで、全てを理解し合えるなどと思わずに、対話を通して合意形成できるようになれると、心強いですね。

産後すぐにはじまる、赤ちゃんのお世話。それは、一人の人間を産み育てる大仕事ともいえます。命の重みをひしひしと感じながら、数時間置きに授乳とオムツ替えを行う日々。夜泣き対応で寝不足な体に鞭を打ち、腫れ上がるおっぱいの痛みに耐えながら掃除や洗濯、料理などの家事にも取り組んでいく日々。そうした「産後」に妻と夫が互いを信頼し協力し合えるかどうかで、夫婦の未来は大きく変わります。

離婚は回避できても、セックスレスや互いへの憎しみの感情へと発展することがないように。夫婦の間に深い爪跡を残し、仮面夫婦を演じ続けるようなことがないように。「初動」を甘く見ずに夫婦で乗り越えていける関係性を築けると良いですね。

また、今この記事をご覧いただいている方の中で「産後クライシス真っ只中…」という方は、3つ目のポイントに挙げた「対話ができる夫婦関係」をまずは目指してみてください。

「何も話したくない!」「今更何をどう話せば良いかわからない」「目を見て話しができない」など、深刻な状況にある方もいらっしゃるかもしれませんが、そうしたネガティブな感情を乗り越えて、夫婦や家族にとって大切な話ができる状態をつくり出していくことができなければ「この先」はありません。

もし、二人きりで話すと衝突が絶えない、途中で話が途切れてしまうなどのお悩みがあれば、弊社で開催している「両親学級 世帯経営セミナー」への参加もご検討ください。産前産後に分断されがちな夫婦間の役割を見つめ直しながら、「対話を通して合意形成できる夫婦関係」を目指す場です。お近くの方に限られますが、ご活用いただければと思います。

産後クライシスは「より良い夫婦関係に向けた最大のチャンス」です。乗り越えたその先に、以前に増して強い夫婦の絆があることを期待して、夫婦で諦めずに現実に向き合えますように。ご夫婦ご家族の幸せを心から願っています!

3月の「夫婦のパートナーシップ強化」イベント・セミナー情報

子育て期の夫婦のパートナーシップを強くする!両親学級「世帯経営セミナー」

子どもを授かって嬉しいと思う反面、実際に夫婦の間に一人二人と加わっていくと、家事や育児、働き方のことなどで衝突する機会が増えるもの。その理由の一つに「夫婦でキャリアを考える機会の不足」があります。どんな自分・夫婦・家族でいたいか?子育て期に夫婦で共有すべきこととは?「わたし」だけでなく「わたしたち」で人生を創っていくためのヒントをお届けします。子育て中のご夫婦はもちろん、妊娠中のご夫婦、これからお子さんをお考えのご夫婦、新婚さん、結婚前のカップルさん、ぜひご参加ください!(原則として、ご夫婦・カップルで参加頂いております)

日時:2017年3月18日(土)13:00~15:30(12:45~受付開始)
会場:ココシスビル3階(福岡市中央区警固2丁目12-24)
詳細はコチラから https://www.3522navi.com/events/archives/53